このアプリは、工場内の機械の稼働状況と作業者の活動状況を1つのタイムライン上に並べて可視化するツールです。
IE分析手法における「MMチャート」や「DI分析図」を表示することができます。
この資料では、データを用意して各チャートを確認するまでの一連の流れを説明します。
このアプリではデータ収集を行いません。
このアプリに読み込ませたデータの処理は、お使いのPC上だけで実行されます。外部サーバーへ送信・保存されることは一切ありませんので、安心してご利用ください。
次の 2 つの InQross カイゼンメーカー関連のファイルを用意してください。
layout.inqross-map)
layout.inqross-map というファイル名で自然に保存されています。exported フォルダ内に保存されています。工場の機械の稼働状況が時系列で記録されている任意のシステムのCSVファイルを用意してください。
日付時刻,MACアドレス,赤色情報,黄色情報,緑色情報,RS-232Cデータ(ASCIIコード)
2026/08/28 08:00:00,調合機,0,1,1,
2026/08/28 08:00:00,充填機,0,1,0,
2026/08/28 08:00:00,殺菌釜,0,1,1,
2026/08/28 08:00:00,包装機,0,1,0,
2026/08/28 08:24:32,調合機,0,1,0,PROD COMPLETE QTY120
2026/08/28 08:25:02,充填機,0,1,1,CYCLE START JOB204
2026/08/28 08:26:41,殺菌釜,0,1,0,LINE STOP END OF RUN
2026/08/28 08:27:20,包装機,0,1,1,PROD START LOT-A231
ここで用意する機械データCSVは、「機械の状態(正常稼働中・停止中・異常発生中など)が記録されているデータ」でもよいですが、「機械の状態が判別できるヒント情報が記録されているデータ」でも構いません。
例えば、株式会社パトライト様開発の「AirGRID」システムでは、 データ収集用アプリ を使うことにより、機械に取り付けた積層信号灯の 灯色ごとの点灯状態 のCSVを得ることができます(赤色情報・黄色情報・緑色情報などの列に、消灯なら 0 ・ 点灯なら 1 などが入る形式)。
ここから「赤色が点いてたら機械の異常」「緑色が点いてたら正常」といった変換ルールが考えられるならば、機械データCSVとして取り扱うことができます。
他にも、工場内で独自開発したシステムによって収集した、機械の電流値・電圧値を記録した CSV ファイルでも、「電流・電圧が一定値以上なら動作中・それ未満なら停止中」として変換できるならば、こちらでも同様に機械データCSVとして使用できます。
位置・動作タイムラインCSVと機械データCSVは、同じ環境・同じ時間帯で計測したものを用意してください。
取得環境や取得期間が異なるものだと、機械の稼働状況と作業者の活動状況の比較が難しくなってしまいます。
用意した
のファイルを、アプリの画面上にドラッグ&ドロップしてください。
個別に 1 つずつ放り込んでもよいですし、複数をまとめて選択して放り込んでも構いません。
ファイルの種類は内容から自動判別されます。
ドロップしたファイルのデータが認識されると、データ設定ダイアログが表示されます。
データ設定ダイアログを開いてからドラッグ&ドロップしてもいいですし、ダイアログを開いていない状態でドラッグ&ドロップしても OK です。
各種ファイルをドロップすれば、ダイアログが自動的に開くようになっています。
→ この時点ではまだ「データを更新」ボタンは押さず、続けて機械定義の編集作業を行います。
機械データCSVの各データ列を、「稼働中」「異常停止」などの機械状態の判定のために、どう使うことができるのかを、 3 段階で設定していきます。
データ設定ダイアログの「機械定義CSV」欄にある「編集…」ボタンから、機械定義設定ダイアログを開いてください。
ここでは、機械データCSVの各データ列が、時刻・機械ID・数値などどんな「型」として使用できるかを設定していきます。
入力したデータ列名に対し、ツールで利用できる「型」を割り当てていく流れで設定します。
株式会社パトライト様開発の AirGRID の データ収集用アプリ が生成したCSVファイルを使用される場合、機械データ列定義の編集を行う必要はありません。そのまま手順4-2に進んでください。
本アプリにはこのCSVファイル向けの列定義がデフォルトで組み込まれているので、設定調整なしにデータが読み込めるようになっています。
「読み込み済み機械データCSVから自動生成」ボタンを押すと、手順3で読み込ませていた機械データCSVの中身に適した列名・型が定義されるように自動推測させることができます。
次から説明するデータ列設定を効率よく編集できるようになるので、まずはこちらの機能をご活用ください。
時刻 と ID の型を持つデータ列は、必ず設定が必要です。これらの型を持つデータ列の名前を確認してください。
時刻
2026/12/31 23:59:59.999 のようにフォーマットされている必要があります。ミリ秒は無くても動作します。ID
機械 ID の別名やニックネームのようなデータが機械データ CSV に入っている場合は、それを 表示名 の型として定義してください。
表示名 のデータ列がある場合は、MMチャート上でその機械のデータを表示する際、機械 ID で表示する代わりに、そこで設定された名称を使用するようになります。
数値 と 文字列 は、機械状態ルールで判定する「値」として使用できる型です。
数値
文字列
補足テキスト は 文字列 と同一です。
ただし、 補足テキスト で設定したデータ列は、MMチャート上で黒丸バッジで表示されるようになります。
データ列に「機械側の状況説明」「直近の動作情報」といった短い文字列データが埋め込まれている場合には、この 補足テキスト データ列を設定してください。
MMチャート上で何らかの異常期間を見つけた際、そのときの機械側の状況もスピーディーに確認できるようになり、どういった異常が起きたのか・作業者がどう行動したのかの理由の把握が行いやすくなります。
「 数値 ・ 文字列 ・ 補足テキスト のデータ列が、どのような値になっていたら、何という機械状態とみなせるのか?」について、機械状態と条件の組み合わせリストを定義していきます。
プログラムのif-else文を書いていくようなイメージですが、ここではプログラムを書くのではなく、ページ上のUIを操作するだけで構築できます。
機械状態名・チャートで表示する際の配色・条件式を、優先して判定したい順に上から並べていってください。
また、「どの条件にも一致しない場合」の状態は、「その他の場合」を使うことで定義することができます。
稼働中#00aa00 )緑色情報 > 0停止中#ff0000 )その他の場合機械ごとに状態の定義が異なる場合は、複数のルール定義を作成し、手順4-3で機械ごとに使用する条件ルールを設定してください。
データ列定義の型ごとに、条件として使用できる判定方法の種類とその意味・使い方を紹介します。
== (一致)
!= (不一致)
> (より大きい)
>= (以上)
< (より小さい)
<= (以下)
bitTest (ビット含有)
not_bitTest (ビット含有の否定)
ビットフラグや特殊なエラーコード値の条件値を書く際に、 2 進数を示す接頭辞 0b ・ 16 進数を示す接頭辞 0x を使用すると、わかりやすくなることがあります。
== (一致)
!= (不一致)
includes (部分一致)
not_includes (部分一致の否定)
機械ID(例:シリアルナンバーやMACアドレス)ごとに、チャート上での表示名・使用する状態ルール・設置位置名を対応付けます。
ここで「読み込み済み機械データCSVから自動生成」ボタンを押すと、手順3時点で本アプリに与えていた機械データCSVに含まれるすべての機械IDを一括登録できます。その後、必要に応じ、各項目を手動変更してください。
この機械トラック定義編集は任意です。以下のような状況で活用してください。
機械定義の編集が完了したら「保存する」ボタンを押します。
データ設定ダイアログに戻り、デフォルトの機械定義の方が赤く着色され、代わりに編集した設定に基づく機械定義が緑色で表示されます。
ここで「ファイルに保存」ボタンを押し、編集した機械定義ファイルを PC に保管しておくことをおすすめします。
機械定義の設定は複雑になりがちなので、都度バックアップを取るとよいでしょう。
ファイルに保存しておいた機械定義CSVファイルも、手順3で紹介したように、ドラッグ&ドロップでこのツールに読み込ませることができます。
様々な環境向けの機械定義CSVファイルとInQrossレイアウトファイルをセットで保管しておくことで、その環境で収集した機械データ・作業者データのチャートをスムーズに表示できるようになります。
データ設定ダイアログの「データを更新」ボタンを押すと、読み込まれた各種設定系データ・機械データ・作業者データが反映されたチャートが表示されます。
チャートの見方は、 全体を俯瞰する → 気になった期間へズームする → データの流れを確認する → 全体を見直す の繰り返しが基本になります。
機械の異常が集中して起きているところや、作業者の動きや位置が偏っているところなど、気になる箇所を見つけます。
気になる時間帯を Shiftキーを押しながらドラッグ すると、ドラッグした期間に合わせてズームインします。
ズーム率を調整する場合は、 Ctrl キーを押しながらのマウスホイールスクロール、ステータスバー右下の「+」ボタン・「-」ボタンを活用してください。
表示範囲を調整する場合は、普通のドラッグ移動、マウスホイールでのスクロールなどを使ってください。
↓
ズームを行うと、画面下部のステータスバーの「表示中の期間」が更新されます。
ツールバーの「作業者位置」チェックボックスで、作業者の位置トラックの表示のON/OFFを切り替えられます。動作データに集中したいとき・位置データも見たいときの状況に合わせて切り替えてください。
チャート上をクリックしたり、マウスカーソルを動かしたりすると、ガイドライン(縦・横の基準線)が引かれます。
ガイドラインを動かすと、右側のサイドバー内で、そのガイドライン時刻におけるすべての機械・すべての作業者の状態が一括表示されます。
チャート上の要素にマウスカーソルを重ねると、その要素の詳細情報が表示されるツールチップが表示されます。
表示されたツールチップはクリックすると固定できます。記載内容をじっくり確認したり、メモ帳にコピペしたい場合などに活用してください。ツールチップ固定の解除は✕ボタンまたはEscキーです。
機械データで 補足テキスト 型のデータ列が存在する場合、それらは機械トラック上で黒丸バッジで表示されます。
バッジにマウスを近づけると、その時刻における補足テキスト情報をツールチップで確認できます。
機械・作業者の名前部分(データトラック名)にマウスカーソルを重ねると、 現在チャートで表示されている期間に基づく 状態内訳のサマリーが表示されます。
「コピー」ボタンを押すと、割合の棒グラフの元データをクリップボードにコピーすることができます。
Excel や Google スプレッドシート、テキストエディタアプリなどに情報を控えたい場合にご利用ください。
「作業者位置」がONのときは、あわせて DI分析図 も表示されます。
これは、ある位置からある位置への移動について、その移動距離( Distance )と移動発生回数( Intensity )をグラフにしたものです。
トラック名をクリックすると非表示メニューが開きます。
見たくない機械・作業者を隠したり、逆に見たい機械・作業者だけに表示を絞り込むときに使用してください。
また、データトラックの機械ヘッダー・作業者ヘッダーをクリックすると、トラックごとの表示・非表示を一括変更できる非表示設定ダイアログが表示されます。
↓
チャート上でダブルクリック、またはステータスバー右下の「全体」ボタンを押し、ズーム率をリセットできます。
ツールバーの「エクスポート」ボタンを押すと、現在表示されているページをそっくりそのまま保管するようなイメージで、表示しているチャートを 1 つの HTML ファイルとして保存することができます。
生成された HTML ファイルはブラウザーで開いて閲覧できるので、このアプリを持っていない他の人にも共有することができます。
エクスポートされた HTML ファイルの中には、読み込ませた CSV ファイルのデータがそのまま格納されます。
このため、ファイルサイズが数 MB の大きさになることがあります。
別の日の「機械データCSV」「位置・動作タイムラインCSV」が用意できたら、それらを手順3と同じように再度ドラッグ&ドロップし、データを更新してください。
このアプリに読み込ませたCSVファイルは、各ファイル種別ごとにアプリ内(PCローカル内)で自動で保存されます。
アプリを終了しても次回起動時に、同じ設定ファイル・データファイルについて再表示されるようになっています。
同じ工場環境について使用している状況では、機械データと作業者データの 2 つを差し替えていくだけで、新しいチャートを作成できるようになっています。
チャート上の凡例・サイドバー・ツールチップ・「機械状態ルールの定義」ダイアログの色一覧など、色が表示されている箇所であれば、その色のスウォッチ(■)をクリックするだけで、16進数カラーコード(例: #00aa00)をクリップボードにコピーできます。
コピーできるスウォッチにマウスカーソルを合わせると枠線が表示され、クリックすると一時的に枠が太くなってコピー完了が分かるようになっています。
本ツールに関する報告資料を作成している時や、「4-2. 機械状態ルールの定義」で機械状態の表示色を指定する時など、チャート上で使われている色に合わせた着色をしたい場合に活用してください。
Gemini / ChatGPT / Claude などの LLM サービスで、エクスポートされた HTMLファイルを分析させることができます。
エクスポートされた HTML ファイルには工場の業務データが含まれています。
このようなファイルを AI に与える場合には、会社の情報取り扱い規定や AI 利用ポリシーなどに抵触しないかを確認するようにしてください。
例えば、作業者が全体的に止まってしまっていた時間帯を見つけ、その際に止まっている機械の状況を抽出してもらいたい場合は、以下のプロンプトが考えられます:
このファイルを分析してください。なお、ファイル内の先頭あたりに、このファイルに含まれているデータの構造について説明したコメント領域がありますので、その説明を参考にしながら必要なデータをPythonで抽出・分析するようにしてください。
(1) 最も作業者が止まっていた時間帯を教えてください。
止まっていた時間帯は、全作業者の「停止中」の継続時間を1時間単位で合計して評価してください。(2) その際に機械状態が「停止」になっていたことがある機械について、それらの「ID」と「表示名」、そして「補足テキスト」の変化状況を教えてください。
(3) 最後に、データ全体を見回して、他に気になった点を自由に記述してください。
LLM サービスにファイルを分析させる際のプロンプトでは、
このファイルを分析してください。なお、ファイル内の先頭あたりに、このファイルに含まれているデータの構造について説明したコメント領域がありますので、その説明を参考にしながら必要なデータをPythonで抽出・分析するようにしてください。
のような書き出しで始めることを推奨しています。
エクスポートされた HTML ファイルのサイズは大きめであるため、 LLM サービス側でのデータ認識が途中で打ち切られてしまい、分析結果が不正確になってしまうことがあります。
このような不具合を回避するために、Pythonなどのプログラムを通じてデータの取り出しと分析を行わせるようにしてください。
ドキュメントバージョン: v2026.9.2